キリムの店*キリムアートアトリエ

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掲載済みのトルクメン絨毯について、商品説明で品質に優れていると紹介していましたが、理由が分かりました。
これはヤムットではなく、テッケ“tekke”です。
偶々、今回の旅でテッケを買い付ける機会があり、少しその違いについての説明を受けて見識が広がりました。
これに使われているデザインが全く同じでした。
道理で品質が良い筈。
掲載済みのテッケの価格は据え置きですが、今回購入したものはもっと高額になります。
2024/ 6/26

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この業界が潰れかけている今、好調なセールスを続けている店が一つあります。
中央アナトリアからインターネットを通じて販売している店です。
彼らが有名になる前、一度、カイセリであった事がありましたが、その時の印象が良くなかったので、二度と会う事は無いと思っていましたが、その好調なセールスが何を意味するのか、見定めに行きました。
結論から言うと、やはり5年の年月は経過しても何も変わっていません。
むしろ客の扱いに慣れて手口が巧妙になったくらい。
私が実際に経験した話をします。
彼が自慢げに披露してくれた品、このカザックは220年位前の物だと言います。
   カザックの裏面 →
アラビア文字で何か書かれていますが、数字とは少し違うように見えます。
彼はこれを1220と読むと言いますが、腑に落ちない私は写真を取って直ぐにイランに送りました。
   彼からの返事がこちら。↓
前日、夕食をご馳走になった後に少し見せて貰ったキリムは、ただ単にオールドが壊れただけなのに、200年前だと言うので聞き流していましたが、彼らの説明は全てがこの通り。
それでも食事と宿代のお返しをしようと思って懸命に選びましたが、価格が折り合いません。
最後に、フラグメントならばそう高額では無かろうと交渉を始めると、何と販売希望価格が5,000ドル。
原価の100倍でしょう。
それで「さようなら」を言う時間になると、少しずつ下がり始めます。
高額な品物だと思い込ませる、いわゆる錯覚商法です。
イスタンブルに戻ってこの事を話すと、この業界では有名な話で、二足三文のボロを誰かに数万ドルで売り付け、その事実を知った人から訴訟を起こされているそう。
日本人も相当な人が彼から買っているような口振りでした。
インターネットでは自分の目利きだけが勝負の世界です。
しかし、撮影された画像は処理がされており、より美しく見えます。
私が現場に行って実際に見てみると、「あれ、違うな。」と思います。
美しいキリムを目にすると欲しくなるのは当然の事。
そこで、交渉に入る訳ですが、何かおかしいと感じたら、余程の目利きでもない限り、それ以上のリスクを取るのは辞めましょう。
過去、珍しい物を数多く出品していた人は盗品と知りながら販売していたため、何度も警察に連行され、今はこの業界から姿を消しました。
盗賊が警察に逮捕されると、誰に売ったのかを自供します。
そして、警察はこの買主の取り調べを行い、販売済みであれば誰に売ったのかを突き止め、返還請求が起こされます。
拒否し続けると、トルコに入国した際に逮捕されてしまいます。
販売されている商品がどういう経緯で持ち込まれたのかまでは推察出来かねることころですが、何かおかしいと思う所が必ずありますから、敏感に感じ取って行く他にはないでしょう。
自己責任となりますので、十分にご注意下さい。
2024/ 6/26

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キリム・絨毯関連について
伝統的なオールドのキリムや絨毯を売る店は、ほぼ壊滅しています。
その理由の一つが、ビンテージ加工した絨毯です。
パイルを短くカットし薬品で脱色した絨毯は、濯ぎ洗いが不十分で、とても健康に良いとは言えないもの。
この何処に魅力があるのか分かりません。
むしろ、機械織の方が綺麗ですらあります。
それでも、まるでファッションの様に欧米で受け入れられ、通販サイトで莫大な売り上げを記録、殆どの業者がこの道で生計を立てる事が可能となり、全てがこのままで進行するかに見えました。
   マラティアにあるビンテージ加工の販売元 →
アンティークも少しだけ置いてあります。
しかし、欧米で景気が悪化すると、販売数量が激減し、数少ないオーダーの奪い合いが始まりました。
既に、1平米辺り2〜3ドル刻みの激しい価格競争が繰り広げられていましたが、更に値引き競争が熾烈を極め、廃業に追い込まれる者が次々と出て来るようになりました。
カイセリの友人は、このビンテージ加工にいち早く転身し、大成功を収めた一人です。
彼のおごりでカイセリで一番豪華と言われるエルジス山の麓にあるレストランで食事した後に訪れた店では、何百万単位、店を丸ごと買い付けていました。
在庫を保管するビルを買い、新しい奥さんと住むアパートも買い、欲しい物は全て手に入れたようでした。
しかし、栄華を極めた彼が見せてくれた今月の売り上げは、170ドル。
今では売れない在庫と従業員に支払う給料と雇用保険等の支払い等で赤字を出し続け、今では蓄えを食いつぶして生活。
日々赤字を出し続けるストレスから、店も在庫も全て売り払って、この道から手を引きたいと言っています。
彼らは、キリム・絨毯の価値・価格破壊を行い、自ら自滅してく道に進んでいます。
また、彼らがマーケットの主役になった事で、各地に数多く存在した修理工房は軒並み閉鎖されました。
もはや職人技を発揮する修理の必要が無くなったからです。
現在、彼らは生き残りを掛けて、最後の賭けに出ています。
壊れた絨毯を安価に買い付け、漂白せず、水洗いだけで売る方法です。
その工程を見せて貰ったところ、外からは見えない場所で幼い子供たちが何人も並んで絨毯の房止めを行っていました。
トルコ人ではない可能性もあります。
いずれにしても、もし誰かが警察に通報すれば、罰金だけでは済まされないでしょう。
それも承知で危険な仕事に手を出しているのです。
2024/ 6/25

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今年もGWを挟んで、トルコに行ってきました。
噂には聞いていましたが、物凄い物価上昇です。
イスタンブルの中でも外国人観光客の多いエリアは、他の欧州各国と物価がほぼ同じです。
   夜景 →
安くておいしかったビデ(トルコ風ピザ)が、観光地で350〜400TL。
単純に5倍すると円換算できるので、2,000円弱。
少し小綺麗な程度、レストランと呼ぶには恥ずかしい位のお店で、前菜のスープにサラダ、そしてメインを頼むと3,500円で、ドリンクは別途。
イスタンブルのホテルは朝食が付いていませんから、外食しないとなりません。
グランドバザール内の両替所近くにある朝食のサンドイッチを作る店の前には長蛇の列が出来ており、安いのかと思えば、それすら750円です。
どこかを切り詰めて一日を1万円以下に抑えるのがやっと。
物価上昇は食事だけでなく、全てです。
かつて日本から頻発していたトルコへのツアーは、ほぼ消滅。
足元の不況のせいで、便乗値上げが相次いでおり、物価上昇は更に続くと思われます。
この先、観光客が来なくなると反対に値引き競争が熾烈になると推察され、その頃までトルコへの旅行は延期された方が良いように思います。
2024/ 6/25

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