キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
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fg84 シブリヒサル・キリム

産地 シブリヒサル SIVRIHISAR
年代 1910年頃
大きさ 97*78cm
価格 45,000円


面白いキリムを見つけました。
私は、キュタフヤ産ではないかと思いましたが、持ち主がエスキシェヒル/シブリヒサルだと言うので、そちらを採用しています。
今回はオーナーの言い分に少し納得出来る所があったのと、いずれにしても両者は一山隔てただけ、ほぼ同じ地域を指していますから、拘らない事にします。

さてこちら、元はどんなキリムだったのでしょう。
最初は大きなキリムからカットしたのかと思いましたが、どうもそうではなさそう。
アナトリアのキリムは、模様の次に三本締めの縞模様が来て終わるので、これはオリジナルの可能性があります。
という事は、チュアルでしょうか?
もしチュアルなら、二段重ねのサソリ模様を袋表としますが、これは中央に星模様が入って邪魔しています。
上下に長い縞模様のキリムがあるのなら、チュアルも分かりますが、上端は三つ折りされていたので、オリジナルのフィニッシュかもしれません。
いずれにしても、この縞模様では袋綴じするには短すぎます。
また、チュアルとして使って破損したのなら、その裏側も何かしら影響を受ける筈なのに、そうはなっていません。
裏面用に別のキリムをしつらえる方法も考えましたが、この地方にその方式は馴染みませんし、そもそもチュアルならばフェティエの様にジジムをたくさん入れて強度を出しますが、これはせいぜいお飾り程度。
他に小さなキリムと言えばお祈り用しかありませんが、そう決めるだけの明確な根拠が見当たりません。
ただ、一角のみに施された銀糸(シム)が何かしらの主張をしています。

大きな破損は下の縞模様と織り手の家族によって補修された痕跡+α程度と状態は割と良い。
一層の事、破損部を切り落として房止めすれば、切り離した部分から修理糸が取れるので完璧な一枚にもできますが、私はこのままの方が奇麗だと思います。
何より、その愛嬌のある模様と独特の色合いの配合によってもたらされるチャーミングな味わいは、他では出せないもの。
特徴的な黄色は、おそらく中央~西アナトリアで取れる木の実の殻から染めています。
以前、アバノスで実物を見せて貰った事があります。
なすび色は下端にのみ使われていて、他は薄い茶色に染めてあります。
ジジムの一部に緑色はありますが、極一部です。
全体として穏やかな色合いでまとまっており、飾りとしても十分な見応えがあるでしょう。



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