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fc32 ホタムシ・キリム |
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今までに掲載したキリムの中で、そして、おそろくこれからもトップグレードに君臨し続ける高品質なホタムシ。 一概に品質が良いと言っても、単に薄く織られただけの品質の良さとは違います。 腹や首周りの柔らかい部位の原毛を選別し、均一の太さに紡いだ糸を使い、綿密に計画された下図に基づいて正確に織られています。 色素の定着や発色が良く、長い年月を経ても美しく輝きを放つのは、油脂分を含むウールの所為。 そういった基礎的な所から、キリムを完結するまでの卓越したデザイン描写とそれを完結させる総合的な技術力の高さ、薄さや織り密度の高さを競う物とは違う品質の良さを感じさせるのはこのホタムシならでは。 ただ、三度撮影を試みても、これの持つ独特の天然色は満足のいく再現とはなりませんでした(やや色温度の低い冷たい感じになりました)。 それでも、この異彩を放つような別格の存在感はお伝えできると思います。 このスタイルそのものはホタムシに好んで使われる最もメジャーなものの一つ。 一つずつ独立して構築された格好のマルチなボーダー部は、壮麗なフィールドを飾り立てるべく何重にも取り巻いて、フィールドに到達するまでにかなりの距離を置きます。 そして、核心のフィールドは万人に人気の赤を背面に使い、外周に白抜きのボーダーを置くことで際立たせてあります。 もっともその赤いフィールドは、巨大なベレケット/ドラゴン模様を始めとする様々な装飾で埋め尽くされていて、赤色が使われている事が直ぐには伝わってこないくらい。 この羊の角がとぐろを巻いた様な複合ベレケット模様はムット等遊牧民キリムにしばしば見られるものと意味するところは同じです。 しかし、全体として遊牧民キリム風のランダムな様子ではなく、整然と整った中の静かな混沌とした感じ。 模様を描く線は、必ずしも真っ直ぐではなく、手書きの線の様に微妙にはらんだりしているので、新しいキリムの様な無機質さではなく、マイルドな愛嬌を感じます。 配色面では、何と言ってもホタムシらしい濃いめの色合いが魅力。 故意の色むらはあっても、自然発生的な色むらの生じないようにしっかり染められ、たくさんの色彩が入り交じっていても全然嫌みはなく、美しいとしか感じません。 また、掲載画像中、ブラウンに見える部分の多くはなすび色、櫛模様の縁取には多彩な配色を楽しむかのように色糸の切り替えが行われています。 最後の画像は、この緑色を裏面から見たものです。 表面より若干濃厚な色合いから、表からでは識別する事の難しい黄色が混じった古い時代の緑色であることが伺えます。 また、日本へと発送する前に現地でこのホタムシの点検に立会いましたが、その間に訪問する業者達の誰もかれもが寄って集って「誰の物か?」「何処で見つけたのか?」等と余りに小うるさいので、見え難い場所で作業してもらったほど。 たまたま店に居合わせた「キョェク・ボヤ」の著者ハラルドさんは、(良いものなのは分かるが)「そんな(高価な)ものを買ってしまって売れるの?」と言われます。 確かに販売する事を目的に買い込んでいたら大変かも知れませんが、自慢の品として在庫に持つのなら別の話。 古いキリムを扱う業者に、自身もコレクターである事が多いのはそういった理由からです。 |
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