キリムの店*キリムアートアトリエ |
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fc211 ユンジュ・キリム |
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ベルガマ地方の至宝、ユンジュのキリム。 買い付けたのは、今から10年近く前の事。 記憶は曖昧ですが、当時、馴染みの店に行くと、オーストリア辺りのコレクターから仕入れたというキリムが数点あって、その時、買い付けた内の一枚です。 今も覚えているのは、当時、アンティークには少し年代が足りないと感じ、オールドとしては割高なので、販売は難しいと思った事です。 では、なぜ売れないと思うものを買い付けたのかと言えば、その品質がダントツに優れていたから。 自分が惚れた物なら、セールスは二の次。 何かしら自分が納得できるような品物であれば、それで良かったんです。 そう考えると、前のオーナーがどうしてこれをコレクションに加えたのか少し分かったような気がしました。 幸いなのは、買い付けてから長い年月が経過し、もはやアンティークの部類に含められるようになった事、そして、これら貴重な品物は殆どが個人所有となり、市場には皆無となったお陰で、割高であったはずのものが反対に割安になった事です。 その品質について平たく言えば、「薄さ」です。 薄いキリムと言えばレイハンル、その中でも極め付きの品物を掲載品以外にも豊富に保有していますが、それらと比べても更に薄いです。 これより薄いものと言えばレイハンルの中でも最高峰、ハタイのベルデ風のジジム位。 あれは経糸そのものでキリムが織られているので、流石に敵いませんが、それに匹敵するレベルという事です。 このユンジュは縞模様キリムという事で、製法上、薄く仕上げ易い側面はあるものの、ここまでするか?という程。 このユンジュを畳んで置き、その上に他のキリムを積み重ねると、完全にその下に隠れてしまうので、何処にあるのか所在が分からなくなる程。 小さく畳めば、掌に乗せる事が出来きます。 当時の用途としては、やはり目隠し用のペルデの類ではないかと思います。 敷物にするには薄すぎ、後、敷いて使われた形跡が無い事等からそう考えます。 デザインは微妙に異なりますが、個々の小さなジジムはフェティエと同じく豊穣を願うと同時に、邪悪な物の侵入を拒むというもの。 それ故、白いウールは白いままに、背面は出来る限り黒い色彩にする必要があります。 色合いについては、ご覧の通り、白を含めても5色程度です。 ただ、その数少ない色彩だからこそ、白の入れ方、ブラウンの使い回しと言い、よく考えられています。 赤と青はユンジュを代表するものです。 茜から染めた赤色は、このように太陽光に晒されていなくても古いユンジュと同様にやや褐色気味。 青については、青味が感じられるところ、紫色やブラウンぽいもの等があります。 何か別の染料を混ぜて染め上げたとか、淡い赤色に染めた色糸を藍染したか、もしくはその反対もあり得ますが、定かではありません。 このキリムに最適と考えられた黒い程の青色が必要な為に、何かしら苦心してそれに近い色合いを作り出したのだと思います。 いずれにしても、この年代のユンジュに化学染料は使いません。 伝統の技を受け継いだ神業の様な職人芸を発揮した人達が、昔ながらの草木染の伝統を捨てて、安易に化学染料を使う事は無いからです。 ユンジュの名前の由来の通り、ウールは最高のものが使われています。 推測に過ぎませんが、多分、子羊です。 薄いのに、ふんわり柔らかく、油脂分があり、キリム表面に艶があるからです。 なお、薄手であると書きましたが、スカスカに織られた薄手のキリムではなく、極細の糸で密に織られているので、敷物に使える程の強度も兼ね備えています。 房の仕上げ一つ一つにまで職人技が発揮されており、このキリムを見る度に何処かしら新しい発見があるのは実に嬉しい事です。 その上で、こうして皆様にユンジュの技術水準の高さというものを披露できるのは、長年キリムの商いに携わってきた者として少しばかり誇らしく思えます。 |
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