キリムの店*キリムアートアトリエ |
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fc221 ベラミン・キリム |
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テヘラン州の最南端に位置する、ベラミン郡ベラミン市がその名の由来。 ペルシャ語の英語表記では、バラミン/VARAMINとなりますが、ラテン文字ではVERAMINと翻訳され、欧米での呼称には後者が多く見付かります。 この地は古くから農業が盛んで、野菜や果物の産地として知られ、テヘラン郊外まで都市化が進む現在でも、農業の中心地としての役割を担っています。 当然、商業的な営みのある所では、絨毯の生産も盛んに行われており、イラン有数の産地の一つです。 私達の知る工房系の絨毯では、欧米での商用を重視したメダリオン模様のペルシャ絨毯ですが、ベラミンは地元に伝わる絨毯であり、そのデザインは、ボーダーには花柄の流水模様、フィールドには豊穣を意味する円形の花模様が一面に描かれます。 キリムの場合も同様に花模様を意識したと考えられ、それに魔よけのギザギザ模様を付けていったものが、このキリムの根底にあるのではないかと考えます。 また、自家消費されるキリムでは制約がある中でも、ある程度、織り手が自分好みの配色やデザインを考案ことが出来、このように古い物では、織り手の個性が感じられます。 制作したのは恐らくクルド人、水平機を用いて織り進めるので、織って済んだ部分は見えなくなる上、この小さな模様の連続ですから、その場その場での臨機応変な対応が必要となります。 織り始めは下側からだと思います。 マナストゥルのような星模様のボーダーを色とりどりな色彩で織り込み、至る所に色むらを取り入れながら、とても意欲的な気心が伺われます。 そして、フィールドに一段目の六角模様を織り込んだ時、織り手はある事に気が付いたと思います。 フィールドの左端に隙間が生まれる事。 右側から織り始めて、左端に微妙な隙間が生じる事に割と早い段階で気が付いていたでしょう。 「まぁ良いか?」と織り進めたものの、やはり気になったのでしょう、二段目からは隙間に模様を入れていき、上に登るにつれて隙間が大きくなると手慣れた様子で隙間を埋めています。 あと、上に向かうにつれて、装飾性・変化が少なくなり、赤い色も二番染めと思われる色彩が使われているので、やはり下側が織り始めなのだと思います。 背面の色はこげ茶と青緑が織り交ぜて使われており、一部に青色も入ります。 稀にこれとは違う、精巧に模様が繰り返されているベラミンを見かける事があります。 実は、このキリムを買い取る際にも、もう一つ、精巧なタイプと比較しました。 一目見た時、キリムは整って見えるそちらの方が良い様に思えましたが、しばらく見ていると、キリム自体が味気ないものに感じてきます。 やはり人の手で織るものですから、機械的な精巧さはペルシャ絨毯には好まれても、このような人間味のあるキリムでは、その場その場で模様を変えていくタイプの方がキリムらしい味わい、醍醐味に満ちていると感じます。 特にこれ、全く同じ形の模様は一つとして無い、変幻自在な所が魅力です。 幅広く取られたフィールド面は、この制作者の家族が生活する為の場であり、末永く平穏に暮らして行けますようにとの願いが込められ、邪悪な物の侵入を拒んでいます。 フィールドの模様は割と賑やかなので、小うるさく思われるかもしれませんが、不思議に部屋と馴染んで違和感が無いのがベラミンの特徴です。 一度敷いてしまうと、結構ハマります。 イランのキリムらしく丈夫に出来ているので、生涯使うキリムとしてもリビングで活躍してくれるでしょう。 なお、最終的にイスタンブルのトップクラスのクリーニング、そしてトルコ随一の職人によるストレッチを行いましたから、イラン直輸入品にありがちな汚れや不始末はありません。 |
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