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fc115 カーズマン・キリム |
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神秘的なイメージのカーズマン。 アナトリアの北東部、アルメニアと国境を接する現在のカルス県の下側、アルメニアの首都エレワンとカルス双方に伸びる国道が交差する位置にある行政区がカーズマン。 ただし、このキリムが織られた当時、1878年から1917年までの間、カルス県はロシア領でした。 そして、オスマン帝国が第一次世界大戦に破れると、西からはギリシァがアナトリア内陸部にまで進攻し、東部では新興のアルメニア勢力に押され、カルス県は1920年まではアルメニア共和国領になりました。 しかも、当時のカルス県は、現在のアルダハン県、アララト山のあるウードゥル県も含む広大な北東部の要であり、大事なアナトリア領土でした。 トルコ独立戦争を経て、ようやく現在の領土を勝ち取ったのが1922年のこと。 そういった土地柄、一言にカルス・カーズマンのキリムといっても多種多様なのが現実で、そういった史実を知らなければどうしてこれほど種類が豊富なのか理解に苦しむことがあります。 もっとも、それは150年ほどもある古いキリムの場合で、一般市場に出回るものは年代の若いキリムがほとんど、白と焦げ茶色を基調にした硬い表情のキリムといった固定化したイメージを抱きがちです。 余談はほどほどにして、本題に入ります。 カルス・カーズマンは、冬期、マイナス40度にもなる極寒の地。 長い冬を利用して織られるキリムは、ほとんどがチフカナットではない一枚物で、織り目が詰まり、実用に適していますが、アラプギルのアルメニアキリムのように総じて細めの長いサイズで織られます。 そのため、半分でカットし、切った部位にシンプルなボーダーを後付けしたキリムが市場には多く出回っています。 カルスとカーズマンは50kmほどしか離れていないにも係わらず、割と特徴が異なり、ノマディクなスタイルを持つ事の多いカルスに対し、カーズマンはとても精巧。 シャーマニズム信仰の影響を受けたような不思議なデザインは、一目でそれと分かります。 人の顔を模したようなこのデザインが並ぶフィールドは正にその典型。 少し変わった道化の様な顔にも見え、物によっては顔の横に付いたフック模様が髭の様に見えて、それこそシャーマンの風貌。 エリベリンデや羊の角・イヤリング等たくさんの模様が複合して作られたこの顔の様な模様は、一般にはベレケットと言われますが、土地柄、これはドラゴンを指すものと思われます。 フィールドの隙間は羊の角を始めとする数々の模様で埋められ、大概はシンプルなイヤリングなどの模様が置かれるだけのボーダー部ですが、こちらは見事な装飾。 この手のキリムにしては過度なくらい隙間を埋める事に拘った印象があり、その数々の模様からは自らの幸せな結婚と家内安全を願う気持ちが秘められた作品になっています。 |
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