キリムの店*キリムアートアトリエ |
HOME | | | お取り引き について |
| | 配送方法 と送料 |
| | お支払い について |
| | Q&A | | | オーダー フォーム |
| | お知らせ | | | サイト マップ |
fc116 カーズマン・キリム |
|
圧倒的な美しさを誇るカーズマン。 一目見て目に飛び込んでくるのは、その年代故に生み出す事が出来た得も言われぬ天然色。 それらの中で最も異彩を放っているは、このフィールドカラー。 多くのカーズマンのフィールドには白や黒、良くてブラウンが使われる中、これは青緑色を使ってあり、部位毎に実に様々な色むらが出ているので、模様は無くともその景色だけで十分鑑賞に値します。 その素晴らしいフィールドに描かれているのは、カーズマンメダリオンとして一世を風靡した独特の羊の角模様。 その人気振りは絶大で、当時の広大なカルス県だけに留まらず、エルズルムを始めとした北東部一帯で広く用いられ、希にアゼルバイジャンのクバやイラン北西部のキリムにも使われたほど。 そして、その六角形のメダリオンに散りばめられているのは、より緑味の強い緑色、赤味のほんのり感じられる茶色やコチニール由来のバラ色。 緑味の強い緑色は、その中に黄色が混ざっている所もあり、敢えて黄色を残しているのではと思えるくらい。 それほどはっきりした緑色なので、背面が同系色の青緑色でも違和感がありません。 バラ色は、このカーズマンに特有の色合い。 コチニールを使って、ワイン色ではなくこのようなバラ色に染めるのは、バイブルト等の北部でも一部のキリムにしか見られませんし、バイブルトの紫っぽいピンク色と違い、より深みがあります。 その美しい六角形中心には、しばしばカーズマンのメインのモチーフで使われる羊の角が小さく描かれ、その中にはイヤリング、そして、周囲にはアームの伸びた足かせの模様が所狭しと置かれ、ボーダーのイヤリング模様と併せ、これが嫁入り用に織られたものである事を示しています。 各種の十時模様は、アルメニアの文化圏とも重なっていた事を伺わせてくれます。 また、模様を描く線は、横線を除き全て階段状にしたブロック構造で二重・三重の縁取りを入れる手間の掛けよう、半端な気持ちでは織り上げる事は出来ません。 当然、このキリムを織った娘さん、そして、そのお子さんも既にこの世にはなく、例え、このキリムを織った子孫が今も健在であったとしても、まさかご先祖様がこんな素晴らしい品物を残したとは理解できないでしょう。 しかし、結婚前の若い娘さんが心血を注いだ作品は、持ち主が変わった今でも大切に保存され、こうして見る者を惹きつけるのです。 きっとこのカーズマンも再び人の目に触れる事を喜んでいるでしょう。 |
|
戻る |
当サイトの写真・文章・他、すべての情報の無断複製・転用をお断りします。 Copyright © 2012 Kilim Art Atelier. All Rights Reserved. |