キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
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fc193 カシュカイ/バクティアリ・キリム


産地 カシュカイ/バクティアリ
QASHQAI /BAKHTIARI KILIM
年代 1915年頃
大きさ 269〜291*184〜190cm
価格 380,000円


カシュカイのボーダーを持つバクティアリ模様のキリム。
かなり以前にイスタンブルで手に入れたものです。
私がカシュカイを見たいと卸屋に伝えると、「良いものか?」と尋ねられて「そうだ。」と答えると、翌日位にこれを持ってきてくれました。
イスタンブルのキリム屋のコレクションだったと聞いています。

ご覧の通り、このキリムの由来を示す上下のボーダーにはカシュカイ族由来の3本ジジムがありながら、フィールドはバクティアリ風。
バクティアリの場合、多少デザインが変わる事はあっても、ここまでデフォルメされるとは考え難く、やはり、カシュカイが何かしらのアイデアを得て、こういったデザインを考え出したのでしょう。

極めて状態が良く、果たして実際に使われていたのかどうかと思う程の状態の良さ。
表と裏を見間違えているのかと思い、裏返すと微妙に色が濃いので、実際に使われていた期間が多少なりともあるのでしょう。
しかし、キリムは全くこなれておらず、物凄く強靭なままです。
100年以上経過していると言うのに、折りたたむのが難しい位の強靭さ。
耐久性を上げる為なのか、元々、腰の強いこの地方のウールの中から経糸に適したものを選び、撚りを強くする事で、強靭さを生み出しています。
その上に、緯糸を叩き詰める様にして、イランキリム伝統の噛み合わせ手法で織られているので、キリムの耐久性を更に上げています。

そのデザイン性は素晴らしく、実物の大きさで見た時の壮観さは格別です。
ありきたりでない、何か特別な物を作りだそうとしたものと感じます。
個々の模様を構成するメダリオンは、厳しい環境を生き抜いてきた人達の人生を物語るように荒々しく、生きる力を見せつけているかの様。
フィールド端の部分では、まるでミスを起こしたような素振りを見せておきながら、キリムそのものは神業の様に高品質。
意図的に仕組まれた作為は、近くで見るとごく普通、離れてみると目が錯覚を起こすように感じます。
この気の遠くなるような作業を進めるためか、小振りなメダリオン模様を一段ずつ積み上げる方式で、このキリムには隙間と呼べるところが全くありません。
最上段には、想定していた長さが足りなかったのか、はたまたこれも意図的なのか、継ぎ足しのメダリオンが置かれています。

全体として、中段から下側に濃いめの色彩が多い傾向にあります。
この織り手にとって、この色むらとデザイン上の崩しは最も見せたいところだったのでしょう、一番の濃い色合いが使用されています。
従って、そこから上を見ると、また印象が違います。
色目の多さと言ったら、全てのイランキリムの中で随一ではないでしょうか。
実際に室内でご覧になると、使用感の無さからくる色の強さもあり、好みの分かれるところかもしれませんが、これが好きな方にははまります。
また、長さに対する幅の広さは余り類のないもので、実用に際してもとてもありがたいもの。
更に補足すると、このキリムは結構重いです。
その昔、卸屋から重いキリムや絨毯(古いものの場合)は、それだけ手間暇かけて制作したものであり、婚姻の為に作られたと教わった事を思い出しました。



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