キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
クッションカバーも取り扱っています。
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fc224 アラプギル・キリム


産地 アラプギル ARAPGIR KILIM
年代 1880〜1890年頃
大きさ 323*75cm
価格 ご売約済み ありがとうございます


一見して、シナンの様に見えますが、キリムの薄さ、柔らかさ等少し違うと感じます。
私の推測では、織り込まれたデザイン、特にボーダーからアラプギルだと思います。
最終的に、洗って日干ししただけでこの形に復元したという事は、水平機が使われていても、限りなく真っすぐ、精巧に織り進める技術の裏付けがあるものだと分かります。

このキリムはカイセリ滞在中のイスタンブルへ戻る直前に、
顔の広い友人に「古いキリムを見つけたが興味ないか?」と電話があり、そのまま私に聞くので「興味だけはいくらでもある。」と答えると、車をUターンして再び旧市街に向かいました。
駐車場で待ち合わせたオーナーがこのキリムを脇に抱えている段階で、マラティアだなと思いました。
ついで、僅かに見える緑色から少なくとも130年位はあるので、安ければ買い取ろうと。
駐車場で広げて見せてくれたもうその段階で、私の関心は価格だけ。
友達価格から少し値切り、また、リラの持ち合わせが無くなった為、ユーロ払いとして更に少しだけ値切り、5分と掛からず、交渉成立。

キリムの良し悪しを決めるもの一つに、それぞれのキリムが持つ産地等の背景もありますが、根本的な要素は色合いであり、つまりそれは年代です。
その際、決め手の一つになるのが年代毎に変わる色合い。
一番分かり易いのが緑色、この濃く深い緑は古いキリム好きを惹き付けて止みません。
デザインは典型的なマラティア、十字模様が割と多く使われているので、アルメニア系の風土があるのかなと感じます。

遠目には、全体の色調は落ち着きのある色合いに感じます。
元々、マラティアでは色のコントラストを控え目にする傾向があるので、それらしいと言えばそれまでですが、赤と緑、そして濃紺をメダリオンのメインの色柄に用い、色の派手さを感じ易い黄色を極力使う事なく、褐色系の色調を上手く取り混ぜて派手さを押さえている気がします。

何と言っても、ポイントは緑。
黄色の糸を藍で上染しているため、ベースの黄色が至る所で滲み出ており、近くで見ると、遠目で見た印象とはまた違ってきます。
正に、緑色の独壇場といった面持ち。
また、最後の通り、裏面はこのキリムが織られた当初の色合いを留めており、とても濃厚で、緑は色むらがハッキリが出てくる前のもの。

コンディション
小さな穴が所々空いていて、掲載画像で全てをお見せ出来る訳ではありませんが、一番大きな穴が、上の端のボーダー部分の穴です。
また、長いキリムの所為か、フィニッシュの上端近くが少しだけ左方向に弧を描きます。
その結果、右端のボーダー部分を少し作り過ぎる事になります。
チフカナットにした時に、この作り過ぎた部分が余り、結果として、上から3番目のベレケット模様の部分に「弛み」を作る事でキリムをフラットにしてありました。
軽くストレッチを掛けましたので、今はほとんど気にならないレベルにはなっています。
飾りや観賞用にするには、何も問題にはならないでしょう。



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