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fc136 エルズルム・キリム |
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業界用語で“Turkish sine”、トルコのセネとも呼ばれるキリム。 産地の特定が難しい事、デザイン構成がセネに似ている事からその呼称が広まったと推察され、その多くは、東北地方の三県(ERZURUM/ KARS/ ARTVIN)で織られた、極めて専門性が高いキリムです。 今から遡ること10年位前にも、偶然、卸屋がこれと瓜二つのキリムを見付けました。 その当時はまだ事情に精通した古参の業者が現役で、エルズルムと特定できた事から、価格が吊り上がってしまいましたが、今回は事情が異なります。 売り主は“Turkish sine”としか話さず、何処のキリムか全く気が付いていませんでしたので、「セネ」のまま買い取る事にしました。 さて、実際にこれを見てみると個々の模様は明らかにアナトリアのもので、本家セネらしさはほとんど皆無、「何処がセネ?」と言うのが正直な感想。 物は試しに彼らにそう尋ねてみると、「Turkishなのだ。」とはぐらかす様な返答があるのみ、要は分からないのと、昔からそう言われてきた事の名残りだと気が付きます。 ただ、そのデザインは何処を見てもユニーク、産地なり部族性を示すと言われる黄色と緑の美しいボーダー部は殊の外興味をそそります。 外側の髪飾りの模様は、クバ/ダゲスタンで頻繁に使われるベレケット模様に似ていますし、その内側にあるジグザグの流水模様は、ドラゴン・クバにこれと似たパターンが見られます。 何より、その内側の目の模様、通称クリスマスツリーは、カフカスから西北イランで好んで使われるもの。 正に人種や文化が入り混じって生まれたこの地方ならではのキリムではないでしょうか?! この超過密な模様の一つ一つが何を意味するものかは、オーナーとなられた方にゆっくり検分頂くとして、このキリムの意図する物は何なのでしょう? ボーダーに見られる様々な装飾は、この土地ならではのものと理解出来ます。 しかし、真ん中に置かれた風船の様な丸っこいメダリオンは何でしょう? 生命の木、箪笥模様、足かせやフック模様などぎっしり詰め込んでパンパンに膨らんだ感じ。 メダリオンの隙間もこれまた超過密な模様配置、マントを羽織った様なエリベリンデ像等、小さな模様がこれでもかと過密に詰め込まれ、邪悪な物が侵入してくる余地を一切残していないかの様。 一つの考え方として、織り手にとっての実り多き人生を願い、願掛けとしてこれに数々のお守りをありったけ詰め込んでいるというのはどうでしょう? そして、この複雑怪奇なデザインが一体となった一枚のキリムが、その願いが結実した証として具現化されているのかもしれません。 圧巻なのは、その天然色。 これ程多彩な色合いを用いながら、嫌みというものが感じられないどころか、一つ一つの色合いが極めて美しく、時間が許す限り眺めていたい衝動に駆られます。 緑色は濃く強く、そのノマディクな様相の影響か、黄色混じりの強い緑色のムラは正に年代物キリムの証。 紺色も一様では無く、絶妙な色ムラがさりげなく入っているのも絶妙。 同類のエルズルムでも若いものには決まってオレンジが入り、それをごまかす為に太陽光で全体を焼いて退色させますが、これにあるのはアプリコット、十分に古いキリムなのでその必要もなし。 極めて保存状態の良いキリムでありますが、僅かな修理にもアンティークのキリム、色艶のピッタリなガジャリを分解した古い糸で行う等、コレクション用のアイテムに相応しい仕上げにしてあります。 |
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