キリムの店*キリムアートアトリエ |
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fc145 ジルキ/ヘルキ・キリム |
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ハッキャリ地方の古いキリム。 新しいキリムと見間違う様な濃厚で鮮やかな色彩は、古い時代の天然色の証。 フィールド背面色には濃紺が使われ、この黒く感じる程の濃紺(※)のお陰で、白はハイライトの様に、ワインレッドやアプリコット色は対比色として美しく映えます。 (※一部にはブラウンも混在しています。) 無論、全てこのキリムを織り始める前段階から計画されたものであり、濃紺色の海を小さな模様で埋め尽くそうと並々ならぬ決意があった事でしょう。 その為に不可欠だったのが、この濃紺色。 黒く感じる位に濃く染めるには、何度も同じ工程を経なければなりませんし、艶のある=油脂分の多いウールですから、糸の芯まで染めるのは容易い仕事ではありません。 部位毎に若干の濃淡の差はありますが、職人技が冴え渡る濃紺色はこのキリムの醍醐味の一つと言えます。 同じインディゴ由来の青や青緑色は、この濃紺と比べれば 容易な事、ただ何故か、緑色だけは極小さく、2か所にだけ隠す様に使われています。 そのデザインは、一段ずつ模様を積み上げて隙間が空かないようにするタイプ。 小振りな模様の反復で構成され、メダリオン等の大きな模様を構成していないので、遠目には模様が上手く認識出来ない程ですが、近付くと細やかな模様の結集だと分かります。 ハッキャリ・キリムのデザインによる分類では、ヘルキに振り分けられる一方で、パルマクルばかりを織り込むŞamari(シャマリ)、クモ/ドラゴン模様を並べるHevçeker(ヘビチェケル)、この2つが融合したジルキと見る事も出来ます。 別の視点では、個々の模様はその場その場で織り手の感性に委ねられた大らかさがあり、一見してヘルキの様、しかし、細い糸で綿密に織り上げた技量の高さ、とても艶のあるキリムはジルキのもの。 ヘルキのチフカナットの場合、左右の模様の整合性は余り考慮されず、長さもマチマチである事を考えると、やはりこれはヘルキ風のジルキとするのが妥当でしょう。 また、左右のカナットは、同じデザインでも仔細に見ていくと少し性格が異なります。 左側は基本に忠実、正確を期すタイプなので、羊の角の列は、きっちり4つが(フィールドに)並びます。 一方、右のカナットは羊の角が4+αと中途半端な形で終わり、まるで途切れている様ですが、これは織り手の考え抜いた上の仕業。 こうする事で、真ん中の繋ぎ目部分の隙間を少なくする事が出来るからです。 織り進めている段階で、織り上げた後、2枚揃った時の見栄えまで考えられるのは熟練のなせる技。 他に、些細な点ではありますが、同じ櫛模様でも右側はエッジが少し反り返るようにする事で、踊るような躍動感が生まれています。 右のカナットは、こうした作為が至る所に散りばめられた結果、フィニッシュの右上で調整を強いられていますが、ここもお手の物。 こうした2枚のキリムが合わさり、混在一体となったチフカナットとして見事なハーモニーを演出すのが、古いアナトリアのキリムの醍醐味。 僅かな隙間に織り込まれたS字のフック模様は、普通のジジムかと思えば、織り方が他と違い裏面にスザニの様な糸が通っています。 チフカナットとしてはやや小振りなサイズになっていますが、模様の細かさを考えると半端ない仕事量、単なる作業としてではなく自分のプライドを掛けて根気強く制作に当たったのだと言う事が伝わってくるようです。 細いウールで織られ、薄くて軽いキリムに仕上がっていますので、壁飾りとして使う事も考えられます。 |
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