キリムの店*キリムアートアトリエ |
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fc188 マナストゥル・キリム |
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ご覧の通り、切り分けられたものの一つと思われます。 サイズ表示だけでは今一つピンときませんが、これ自体が尚も大きく、面積で比較すると大抵のチフカナットと変わりません。 これが1/4だとしたら、元はとても巨大だったと思われます。 セールスポイントは、全てのデザイン、色合いが美しい事。 普通、どんなに良いキリムでも気に入らない部分が一つ位あるものですが、これはそれが無く、どの部分を切り取っても絵になります。 この手の大判キリムでは、生命の木を数本並べる手法か巨大なメダリオン模様が思い浮かびます。 しかし、敢えて小さな生命の木を選択し、その配色を変えながら積み上げるという、織っても織っても終わらない相当な労苦を伴う仕事です。 勿論、個人宅での制作は不可能、巨大な織機を何台も立てて、腕利きの織り子を雇う事の出来た名うての工房でしょう。 推定されるサイズだと、4人程度の織り子が並んで椅子に座り、1年近くを掛けて制作した訳ですから、発注主も相当な金額を支払った筈です。 もっとも、これを敷くだけの邸宅がある訳ですから、金銭面に何ら問題はなく、制作に際して贅を尽くして、立派な作品に仕立て上げようと意気込んでいた事でしょう。 そのデザインは、シャルキョイとマナストゥル、両者が融合しています。 一般に、シャルキョイと呼ばれますが、ボーダーにマナストゥル、フィールドにシャルキョイのデザインを用いている事から、このキリムが生まれたのはマナストゥルの文化圏にあり、シャルキョイ文化圏にも近いエリア。 この超大判の制作には、大掛かりな機材、腕利きの織り子等、全てに整った環境が必要となり、その条件が揃うのは都市部近郊に絞られる事から、ソフィア方面の工房で制作された可能性が大きいと思います。 フィールドの生命の木のうち、左端の方は赤を使っているので遠目には分かり難いですが、近くで見ると濃淡の違う赤色が使われているので、それと識別できます。 ちょうどその赤い部分、画像に白くなっている所があります。 新しい時代になって、気になる汚れでもあったのか、合成洗剤をここに使った等の理由が考えられます。 また、これは洗い上がりを修理してそのままなので、ストレッチを施していません。 画像には、保管していた際の折れ線まで見えます。 実を言うと、知り合いにストレッチを頼んでおいたのですが、無視されました。 これが幸運でした。 このキリムは工房で制作されているので、長い年月を経ても歪みが生じず、個々のモチーフが織られた当時のまま、真っすぐに並んでいます。 キリム下端の部分がゆるく半円状になっていますが、もし、これをストレッチするとキリムは綺麗な四角い形になる反面、模様が歪んでしまいます。 更に、7pほどの誤差を修正すると、強く引っ張られたところは壊れてしまいます。 本来、このキリムは模様が整然と並ぶように作られているので、これはこのままが正解なのです。 今になって、その人がストレッチは要らないと言っていた言葉の意味を理解しました。 買い付けた時に見られた破損部は修理、カット面の左端もかがってありますから、これ自体、飾りではなくキリムとして使えるものです。 超大判らしく、織り糸が気持ち太めなので、ある程度重量もある事から、実用に使えなくはありません。 また、年代物故に、キリムはこなれて表面には微妙に艶も出ており、より美しく感じられます。 |
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