キリムの店*キリムアートアトリエ |
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キリムの選び方私のサイトは、ほとんど広告・宣伝の類を行っていません。経費節減の目的もありますが、販売ばかりに力を注がず、キリムについて理解して頂ける方にに見て頂きたいと考えているからです。 ほとんどのお客様がすでにキリムを所有されていて、キリム選びに慣れたお客様が多くいらっしゃいます。 でも、最初のキリム選びでは苦い経験をされた方がほとんど、それだからこそ、私の真意を理解してリピートして頂いているのだと思います。 それでも、最初のキリム選びに当店を選んで頂くお客様がいらっしゃいますので、いくつか私なりのポイントとなる見解をご紹介させて頂きます。 ●キリムを選ぶ前にお店選び 完全に商業ベースに乗ったネットショップでは、利益が最優先される為、必ずしもお客様にとって満足のいく品物を入手できない場合があります。 では、どういう所で判別できるかと言うと、キリムの修理や品質です。 キリムの修理もピンキリで、博物館の修理まで手がける一流の職人から、田舎から出てきた仕事のない人を雇い、粗悪な修理機材を与えて低賃金で修理を行うものまであります。 利益優先よりも、お客様の立場になれば、後者のような劣悪な修理は行われません。 ましてや、納品されたキリムに小さな穴が空いてる等は論外です。 品質については、実物を見なければ識別は困難なのであまり触れませんが、分かり易く言えば、汚れのない綺麗な品物であることです。 古いキリムに若干のシミは避けられませんが、それでもあからさまに汚れているものは、価値が下がります。 そういう安い物を仕入れて高く売るのが仕事上手、買い手にとってはありがたくない存在です。 ●商品管理が徹底しているか? 上記にも関連していますが、販売される前の元々の状態まで売り主が把握しているかが結構大切です。 天然染料か化学染料にこだわる方は多くいらっしゃいますが、店頭に並ぶ前の状態まで気遣う方は非常に希です。 私は、ほぼ全てのキリム・絨毯について、市場に流通する前の状態で買い付け、修理やギュネシに送る指示まで細かに行っていますが、そのような一貫した管理体制を取っている店は皆無と思われます。 市場に流通する前の状態を知っていれば、完成品に隠された欠陥も事前に把握できますので、お客様の手元に届いてから問題が発生することを未然に防ぐ事が可能です。 一例をご照会しますが、右の画像は、絨毯を薬品に浸し、色を抜いた物を日干ししている所です。 この脱色に使われる薬品は、人体に有害なもので、原液では殺傷能力すらあります。 アンタルヤでこの脱色作業の脇を通り抜けましたが、作業員も防毒マスクをしていますし、脇を通っただけでその猛烈な毒素を含んだ空地を吸ってしまい、咳が止まらなくなりました。 太陽光で毒素の大半は抜けるとしても、果たして人体に無害なものか、私には納得できないものです。 インターネット上では、何と言っても低価格が一番の競争力ですから、「安ければ何でも良い」「売った者勝ち」という至上主義の極みのような風潮がそのような粗悪品を流通させています。 どこのお店がそのような品物を扱っているか、営業妨害となるため上げる事はできませんが、存在することは知っておいた方が良いと思います。 ●上記の二点がクリアされて初めて、価格やデザインでキリム・絨毯を選びましょう。 あまり低価格過ぎるのも何かしら理由があるもの、高価過ぎるのも問題ですが、総じて安い物には気配りが必要です。 ある程度お好みの品物が絞れましたら、最後に売り主にその品物について尋ねてみるのも一助となるでしょう。 どこが魅力的であるか、自分が知らなかった点を発見できる場合もありますし、反対にそうでないなら考え直すこともあり得ます。 その際、相手がプロだからと遠慮してはいけません。 相手も売ることに長けた人、例え初めてのキリム選びでも自分の考えを堂々と述べて下さい。 ●トルコ人のお店は安全!? 時折、キリムを「トルコ人の方から直接買いました」とお聞きします。 でもそれは新しいキリム、カイセリ辺りで織られた半工業製品です。 トルコ人から買おうと中国人から買おうと、同じものですが、トルコ人というだけで、遊牧民が織った唯一無二の貴重な品物と思われがちです。 こういう品物はどこで買っても同じ、基本的にグレードが等しいものなら、安ければ安い方が良いに決まっています。 もちろん、ニューキリムでも人の手によるものなので、善し悪しがありますから、若干の気配りは必要です。 一方、オールドやアンティークの場合、安い物は総じてグレードが低くなりますから、リーズナブル=低品質です。 時々、低価格をお店の宣伝文句に使用されているところを見かけますが、それってどうなの?!自ら・・・と宣伝しているのではないかと思います。 また、トルコ人でこの仕事を何年もしていると聞くと、相当の専門的知識があるように錯覚されるかもしれませんが、案外そうではありません。 代々、イスタンブルで絨毯屋を営んでいる家系のエリートの息子さんは、イスタンブル育ちの都会っ子、大学を出て学位を取った方はつい最近までキリム・絨毯なんて何の興味もなかったのですが、仕方なく販売していたりします。 しかも、アンティークのような古い物は、特別な顧客にしか売れません。 観光地でツーリスト相手に何年この仕事をしていても、古い物を扱った経験のない店がほとんどで、驚くほどに何も知らないのです。 特に新しいキリムを織る工場の経営者、修理専門の人は、キリム・絨毯が古いとか、高価なものだとかは仕事上ほとんど関係なく、知る必要もありません。 ただ、機械的に生産するか、指示された通り直すだけです。 「トルコ人で絨毯屋さん」と言うだけでプレミアを感じてしまいますが、私が日本人と言うだけで、日本の自動車に精通していると勘違いされ、トルコ人から「トヨタのカローラのドアが欲しい。」と頼まれるのと近いものです。 |
キリムの選び方2既にお客様のキリム選びについては記述してありますので、ここでは、私のキリム選びについて書き記します。お客様がキリムを選ばれるように、私もキリムを厳しく選んでいますし、その際、悩ましいのは保存状態や価格であることはほとんど同じです。 ただ、ここで言う「保存状態」とはお客様から見た現状のキリムにおける修理の有無だけではなく、元々の状態をどれほど留めているか等、目に見えない部分での状態の事も含みますので、その選別はかなりストレスがかかります。 私は現在、主に二つの卸元を中心に仕入れを行い、どちらが一番かは別にして両者共にこの道でのナンバー1と言われています。 ただし、両者はお店の性格が全く異なっています。 一方は、そのお店の中にある品物のうち、実に八割以上がカットされたキリムです。 何故カットするのか、一例を挙げると、オリジナルの状態で、100ドルの相場のキリムがあったと仮定します。 もしそのキリムにダメージがあれば、修理を行う費用を含めて100ドル程度に収まるよう、ダメージのあるキリムは安価に売られます。 つまり、50ドル相当の修理が必要であれば、50ドルで買い取れるように自然と価格が収れんしていきますから、大体、半値くらいになります。 そこで、もし、修理をせず、その部分をカットする事ができれば、実に安くキリムを仕入れられる訳です。 当然安く仕入れたキリムは安く売る事ができ、この点に長けたこの店のオーナーは、安値で攻勢をかけ、日本に最も多くのキリムを卸しています。 一方、もう一方の卸屋は、オリジナルの状態に全く手を加えない派です。 加えて、正義感の強い彼は、モスクからのキリムや盗品には絶対に手を出しません。 とはいえ、別に熱心なイスラム教徒という訳でもなく、今までお祈りする姿を見た事がありません。 そういう彼の店には、自然と小ぎれいな品物ばかりが良く集まり、カットされたキリムは一割にも満たない程。 田舎を回ってキリムを集めている人、つまり卸元も、質の良い良いキリムが見つかると前者ではなく高値で買ってくれる彼の所に持ってきます。 さて、このような状況でいざキリムを仕入れるとなると、悩ましい問題が出てきます。 それは、両者にとてもよく似たキリムが見つかる場合があるからです。 最も顕著な例では、とても良く似たカイセリキリムが二枚見つかり、色合いデザイン共に優れた物は良品揃いの後者の店、色合いは今ひとつでほんの少し質が落ちる程度の安価な物が前者のお店にあって、価格差が二倍ほどもあります。 欲しいのは高い方、でも、販売価格が高価になるので、お客様にその違いをどう説明するべきか、非常に悩みます。 何しろ原価で二倍近くも開きがあれば、販売価格ではかなり大きな違いとなって感じられます。 この価格差を怪訝に思い、正直に相手方の提示価格を示した上で、その高い理由を尋ねると、彼も自分の仕入れ帳面を見せてくれました。 すると、彼の提示価格は買い取り原価から100ドル程度を上乗せしたものでしかなく、現品については他より高く買い取っていました。 このキリムはほぼ完璧な状態、でも、それ故に未使用感の強い色合いなのでアンタルヤに送らなければなりません。 加えて、クリーニング、ストレッチと最終の点検にニ・三日係る経費を差し引くと、彼の利益はごく普通、少し値引いて貰うと薄利となります。 こういう状況下で、どちらの店を選ぶかはとても大切、例え割高でも信用のおける店で買う方を私は選びました。 ポイントは「優れた商品」、つまり「高付加価値の商品」だと私は思います。 一方で美しいと感じる価値観も様々あり、「何もそこまでグレード/ハードルを上げなくても良いのでは?」と思う心もあります。 しかし、低位にある品揃を供給する事で得られる評価と、優れた商品によってお客様が満足される度合いは明らかに違います。 それ故、オールドからアンティークに至るまでそれぞれのカテゴリーで可能な限り良質な品物を提供する事で、お客様それぞれに自然と共感できる品物、そして、少しでも予想外の満足が得られるように努めていきたいと考えています。 同等の品物では最も安く提供する事をモットーにしていますが、一部の商品は他のお店と同じか少し割高な価格設定になっているものがあるかもしれません。 この事情をご理解、納得して頂ける事を願っています。 また、前述の通り非常に有力な業者と懇意にしている為、秘密裏にいろいろなキリムを見聞していますので、もし高価なキリムをご購入される際には、事前にご相談頂ければ知っている限りの有益な情報を提供します。 |
キリムの選び方3●インターネット販売キリム好きのお客様の中にはアンティークラグ専門のサイトをご覧の方も多いと思います。 その中でもの大量のアンティークの端切れを、ほぼ毎日のように掲載している販売者があります。 からくりは、こうです。 その販売者の下には、毎日の様にアナトリアから端切れが持ち込まれます。 そして、写真を撮影、そのサイトに掲載して、しばらくの間品物を預かり、買い手が見つからない時にはオーナーに返します。 他の業者も同じような手法を行っています。 売れ残るリスクが無く、簡単に現金のみを手にすることが出来ますから、せっかちなトルコ人にはピッタリの販売手法です。 ただ、トルコの田舎はもちろん、イスタンブルですら日々パンを買うにも苦労している人が少なからずいます。 当然、パソコンやスマホは無く、インターネットで売る方法も、英語も分かりませんから、唯一の食べていく方法がキリム・絨毯探しなのです。 背に腹は変えられない彼らは、モスクや個人の所有物を盗んで売りに来ることもしばしば。 そして、モスクや博物館に記録されている部分を切り捨てていますから、見た目で判断できない事も多くあります。 しかし、泥棒は泥棒です。 いつか何かの罪で捕まります。 そして、盗んだキリムを誰に売ったか白状し、その販売者であるキリム屋には警察が本気モードの捜索に来ました。 警察は店の在庫を1枚ずつ調べ、盗品がある事を確認し、ついに店主は(再犯の為)刑務所に収監されました。 しかし、他のパートナーがインターネットに掲載を続けて、外見上は他の正当なお店と何ら変わりなく見えます。 (※今から数年前の話ですが、まだ同じビジネスを続けています。) そして、トルコの警察からは購入者に、それは盗品だから返しなさいと、連絡が来ます。 日本人もこれに含まれている事は、現地では多くの業者の知るところとなっています。 刑法では盗品であったとしても、それを知らないで購入した善意の所有者に罪はありません。 しかし、トルコの警察は許しません。 返還に応じない者は、ブラックリストに挙げて、入国審査の際に判明すると入国拒否されます。 でも、それに不服で、争った人がいます。 世界に名だたるコレクター、そして、頑固で有名なドイツ人です。 10年間入国禁止という措置に対して、勇猛果敢にも、トルコ国内で有能弁護士を2〜3人雇い、徹底抗戦を挑みました。 最終的にトルコの高等裁判所で、トルコ当局による入国禁止措置の撤回を得ましたが、そのとき既に10年を経過し、彼の下には数万ドルの弁護士費用だけが残りました。 最近は、インターネットの普及で、世界は一瞬で繋がります。 私がマラティアまで行き、現地人以外、否、現地人すら知らない極小のキリム屋で商談していました。 すると彼は、おもむろにあるサイトを見せてくれ、「これば私の店、僕のキリムだよ!」と教えてくれ、そこには彼自慢のアンティークが掲載されていています。 それだけでなく、昨晩、そのキリムにアクセスした人数が出ていて、アメリカから6人、トルコ国内から1名なのに、何と、日本から8人もアクセスしているのでした。 このキリム、私には掲載価格の半値以下で提示されたのですが、少し問題があるので買い取っていません。 しかし、これで私が遠路はるばる来るまでもないという事実に少し驚きました。 ここで少しばかり朗報があります。 日本人はアクセスしてくるけど、中々買ってくれないという言葉を、多くの業者から聞きました。 当然、「当たり前でしょ。そんな嘘ばかり書いて、どうして買えましょう?」と思います。 世界で一番敷物に大金を支払う米国では、日本より遥かに早いペースでインターネット販売が定着し、活況を呈すと同時に、トラブルでも最前線にあります。 周知のように、キリム屋は、お金儲けのためなら何でもします。 今までであれば、現地に顔の聞く販売店が品定めをしていたものですが、直接取引の場合、その役割を消費者自身で行わなければなりません。 そして、見事に騙された消費者がショッピングモールの運営者にクレームを出し、運営者側の独自の判断で販売店をネットから次々と削除しています。 しかし相手も然る者、直ぐに別のIDを取得し新たなネット店を開店する始末です。 私の知っている業者は、既に5度抹消され、6度目の店舗を開業しています。 不況下にある今のトルコで、「現金」は何物にも変えがたいものです。 見栄っ張りな彼らは決して口にはしませんが、喉から手が出る程お金が欲しくて堪りません。 その為、嘘や誇大表示といったリップサービスは、むしろ奨励され、以前にもまして激しくなる一方です。 自分でキリムを買い付けるという事はこういう輩との対決になりますので、常にリスクが伴うことを気に留めて置いて下さい。 |
実情キリム・絨毯の販売は今も昔も全国各地の催事が主流で、インターネット上に仮想店舗を持っている場合でも、全国各地で営業をされています。では、なぜ店頭販売ではなく、わざわざ交通費や宿泊費を支払ってまで、苦労の大きな「展示会周り」するのかと言えば、単に儲けが大きいからです。 キリム・絨毯屋のセールストークは非常に長けたものがあり、少しでもお金に余裕があれば簡単に口説き落とされます。 しかも、展示会で販売されている品々は、良心的な所で原価の三〜五倍、ひどい所では十倍、二十倍というのも珍しくありません。 特異な一例ですが、私のところで50〜60万円程度の価格帯のマラティアを、500万円で売ったという実例も聞いています。 それは希なケースとして、展示会では不意に訪れたお客様が購入する事が多いため、その主力商品は3万円以下に設定せざるを得ず、それ故に原価は「0」を一つ取ったくらい、その商品構成は自ずと知れています。 それでも、数枚売れれば数ヶ月分の儲けが出るのが展示会の仕事、とても魅力的な「ビジネス」として今なお君臨しています。 そのような状況下で、昨今、展示会業者のネックとなっているのがインターネットです。 まだまだインターネットの普及は遅れ、主力の購買層の方々には馴染みの薄いものですが、次第に「ネット相場」というものが築かれつつあります。 概ね、展示会の半値以下で買える事もあり、「ネット相場」に慣れた顧客は展示会に手を出しません。 ただ注意して頂きたいのは、インターネットで販売する業者も様々で、常にインターネット販売が勝っているとも限りません。 「展示会回り」で販売されている方には、極一部ですが、とてもまじめで良心的な仕事をされているケースもあります。 ただ、私のサイトは他のインターネット業者とスタイルが違います。 多くの場合、「安さ」を売り物にして品質やこだわりは二の次という販売戦略を取る中で、私は品質の良さを前面に打ち出しているので、展示会の主力である上得意様向けの商品構成と重なっている上に、非常に安価な価格にしています。 先日、大阪のあるインテリアショップが、その顧客から安くて上質なキリムが売られていると聞いて、慌ててクレームの電話をしてきました。 加えて、業者側の都合上、一般には知らせたくない裏事情をご紹介しているため、同業者からは敬遠されがち。 もっとも、前述の「マラティアを500万円で売った」業者さんは、私と全く違う客層なので、私のHPを見ては素晴らしい品揃えだと褒めて下さいます。 この事は、特に国内だけの話ではなく、イスタンブルに於いてキリム・絨毯博物館の学芸員らが褒め称えてくれた事からも裏付けられています。 それでもなお、国内、東京・大阪・地方都市を問わず、同業者の方、特に展示会を中心に販売されている方にとって、私のHPは「目障り」なサイトでしかなく、私が扱う品物については、国内のどの業者に尋ねられても悪い言葉しか返ってこないものと思います。 この事情をご理解の上、ご利用頂ければ幸いです。 ******************** 今まであまり詳しく記載していませんでしたが、少し残念なお知らせをします。 このところ品揃えが充実したせいもあり、とても多くの方々に当サイトをご覧頂いています。 一見、良い事ばかりのような話ですが、悪い側面もあり、無言電話を始めとする「同業者からの嫌がらせ」が頻発しています。 時には名乗り出て話をされるケースもありますが、その内容は総じて「安い価格で売るから自らの商売の邪魔になる。」というものです。 この手の方は、いくら電話を切っても繰り返しかけ続けるという性格の持ち主で、まともに話ができる状況にありません。 お急ぎの用件で電話を利用されるお客様もいらっしゃると思いますが、前述の様な状態が続いている事から、固定電話は時々不通になりますので、悪しからずご容赦下さい。 |
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現地でキリムをお求めになる際はこれから休暇等でトルコに行かれる方も多いと思います。せっかく現地まで行ったのだから、安くて良いものが買いたいと思うもの、一体どうすれば安く買えるのでしょうか? いろいろと注意していただきたい事なども含めて、簡単にまとめてみました。 端的に言うと、プロの絨毯屋を前にして、ふいに訪れただけの者にとっては、あまりに無力、勝つ術はありません。 何せ相手は百戦錬磨の絨毯屋、観光客の扱い方は手慣れたものです。 欲しくもない品物を買わされてお金を失うか、貴重な時間を失う可能性が極めて高いと思われます。 観光客であっても、そこそこの知識があれば、交渉ごとは有利に働くこともありますが、それがかえって仇となることもあります。 例えば、交渉相手が通りすがりの観光客ではない玄人だと分かると、別の高級アンティークの店に案内されます。 確かに、そこはいいものが揃っているハズです。 なぜなら、とても高価なお値段で販売しているからです。 そこで気に入ったものがあり、価格も折り合えば良い買い物ができたということになります。 ただし、高価な品物故に、プロが見ても分からないくらいとても精巧な細工がされていることがあります。 損傷のある大きなキリムから、完璧な一枚のセッヂャーデを作ったり、一枚のキリムから2枚のキリムを作るなど日常茶飯事で、ボーダーを残して経糸だけになったキリムに緯糸を入れていく作業が日々行われています。 2枚にカットされたバイブルト/エルズルム → たとえ、そこまではしていなくても、明るい色は脱色したり、逆に、着色したりと、ありとあらゆる方法を駆使し、暗い照明の中で客が訪れるのを待っていますから、適うはずがありません。 結構古いものには精通しているつもりでも、見たことのない色柄のキリムが出てくれば、「こんな天然色あったっけ?」「房は古そう!」「青色は天然の良い色しているのに・・・」と、頭の中が混乱してくると、もう冷静な判断はできません。 提示された価格が妥当かどうかなんて、どうして理解できるでしょうか? 相手は手慣れたもので、買い手が決めかねていると、次々に誘惑の美談を持ちかけてきます。 「僕には日本人の友達がいて、日本が好きだから特別価格にする。」などと相手のペースにはまれば、なかなか逃れることはできません。 「もし、後で、気に入らなければ返品すれば良い。」なんて最後の決めセリフが出れば、どうして断ることができるでしょうか? 旅の思い出の一つと割り切れれば、いくらで買おうと問題ないでしょうが、高価な物となると、これまた話は別。 旅行中も落ち着かず、帰りの飛行機の中でも悩み続け、挙げ句の果てにとんでもないものを掴まされたとなると、悔やんでも悔やみ切れません。 そこで、少しでも有利に交渉を進めるには、現地の信用できる人間にお店を紹介してもらうことです。 トルコ人に少しでも知り合いがいれば、その人の伝を頼りに、いつかは良い絨毯屋にたどり着く可能性があります。 それができない場合は、目抜き通りから外れたできるだけ観光客の来ない場所、ショーウィンドゥのないような小さな店でかつ、豊富な在庫を抱えている店がお勧めです。 日本では大きくて綺麗なお店が好まれがちですが、トルコでは目抜き通りの小綺麗な店はそれなりの良い品があっても、それらはツーリストプライスで、とんでもないお値段に遭遇できます。 また、豊富な在庫は商売が繁盛している証拠、商品の回転が速くぼったくりが横行する事は少なめでしょう。 キリムの価格相場というものは、需要と供給で決まります。 例えば、同じ産地、同じ年代で品質の異なる2枚のキリムがあったと仮定します。 価格の差こそあっても、双方とも妥当な価格であれば、大方、価格は高くても良いものから売れていきます。 当然、高く売れたものは、高く販売され、売れ残った質の劣るものは、より安く買いたたかれます。 ですから、品質の高いものは割高、質の劣るものは、安く買えるのです。 この二極化現象は、最近ことさら強く、殊に古い高価なキリムは天井知らずで、どんどんつり上がっています。 キリムにはある程度の相場があっても、売り主は高く、買い主は安く買おうとしますから、最初は100万円と言っていたキリムが、半分になることもあるかと思えば、全く値引きしないケースだってあります。 半分になった方が、お得かどうか、それは分かりません。 つまり、例え豊富な経験があったとしても、品質・年代や保存状態などを踏まえた上で、価格の妥当性を判断することは、至難の業ということです。 ネットユーザーの方は、価格に敏感です。 よく言えば目が肥えている、その反対もありえます。 150年前の大判シャルキョイが50万円なんてお値段があればどう思われますか? @ 欲しい A 品物を見てから買いたい。 B 興味がない。 @とAを選ばれた方は非常に危険です。 本当に150年前のシャルキョイが仮に存在していたすると、今の相場からして、誰も50万円で売る人なんていません。本物なら、倍の値段でもたやすく売れるからです。 それはとんでもない偽物であるかどうかは別にしても、50万円でしか売ることのできない品物は、恐らくその原価は半分以下であり、見るに値しない品物と推察できます。 冷やかし半分で見るのなら良いかもしれません。 古いキリムを選ぶ時には、最終的に頼れるのは自分の目だけです。 時々、ご購入後に相談を頂くことがありますが、「そこそこのものです。」としかお答えできないことがあり、私も心が痛みます。 |
イスタンブル・グランド・バザールでのお買い物の際に2004年8月、仕入れと品質・価格調査のために、ブランド・バザールを訪れました。「仕入れのために店を廻っている」と言わなければ話がすすみませんので、大変多くの店に名刺を渡してしまいました。 が、そのほとんどは、取引をしたくないところです。 お客様がグランド・バザールを訪れた際に、「うちの店は、ここにも卸している。」と、その名刺を見せながら話をすることが考えられます。 実際に、それらの店で、ホルダーの中から国内有数のお店の名刺を何枚も見せられました。 皆様がよくご存じのところばかりで、「うちとは良く付き合っている。」と言いますが、これも本当か嘘か分からない様子です。 トルコ人の商売人は、名刺をコレクションし、それを見せることを好むと聞いたこともあります。 はっきり言いますが、グランド・バザールのお店で、推薦できるお店は1軒もありません。 (中には、良心的に対応してくださるところもありましたが、そういったところは、一般の日本人観光客では決して見つけることができないところにあるか、目立たない店構えです。) 万が一、当店の名刺を店主が見せても、絶対に信用しないでください。 左肩に、当店のロゴ「Kilim Art Atelier」の文字、中央に、輸入もしくは接客(サービス)担当として「NISHI ○○」の名前が記してあります。 下部に、住所・電話番号・URL・メールアドレスが記してあり、裏が白紙のもので、それらは、全て英語表記となっています。 良い旅の思い出を作るためにも、重ね重ねお伝えしたいのですが、「決して名刺を信用しないでください。」 そして、自己責任の上で、ご満足のいくキリムや絨毯をお買いになってください。 **名刺を信用して、グランド・バザールでお買い物をされても、当店では一切責任を負えません。** |
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