キリムの店*キリムアートアトリエ |
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ol986 ダズクル・キリム |
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チャルの特徴が少し加味された古いダズクル。 チャルとダズクルは直線距離で50kmと離れていませんが、山で隔たれた別の平野に開けた町で、車で行き来するには一旦南に下って山の谷間を抜け、それから再び上るので、80km程の距離があります。 しかし、かつてこれらのキリムの担い手であった遊牧民やその末裔は、車の通る舗装された道路ではなく、山の道を利用して移動していました。 地形の面でも、チャルの北方には険しい山々がそびえ、ダズクルの南方には大きな湖があるため、自然と互いに近い方向に向かい、この様なキリムが生み出されたのではと推察されます。 いずれにしても、この一番人気のダズクルは、普通のルートでは中々手に入りません。 実は、これも20年程前にスイスへ輸出され、それがまたイスタンブルに戻ってきたものです。 嬉しい事に、当時は修理の技術が低かった事と、現在よりも豊富な品数があったために、程度の良いキリムばかりが収集されました。 そして、ストレッチや組織的な太陽光による退色さえも行われていない時代ですから、田舎から出てきたままに限りなく近い状態でした。 セールスポイントはたくさんありますが、まず、この可愛らしいボンボンの付いた房をご覧下さい。 ボンボンも良いですが、このブラウン、ラクダの毛が魅力の一つ。 アナトリアではコンヤからムットにかけての地域で最後までラクダの毛が織物に使われていましたが、若い年代のキリムにラクダはありません。 そして、ラクダの毛が手に入る様な地域であったからこそ、ゆったりとした大らかなスタイル、そして、このほとんど天然色のキリムを織る伝統が受け継がれていたのです。 では、デザインを見ていきましょう。 田舎の遊牧民系の作品なのに、部族を象徴する様なボーダーが置かれず、上下に縞模様だけが織り込まれるのはダズクルの特徴。 この地域では、フィールドだけで構成される事が多く、内側のフィールドがボーダーの役割を兼ねます。 全体像を見た時の微笑ましい印象は、このデザイン構成と色彩があってこそ。 独特の黄緑/草色のフィールドと鮮やかな赤色のコントラストの中に表現されているのは、織り手の願いを託すたくさんの星や櫛、中央に置かれた羽を広げた鳥は、神様みにそれを伝える事を願うデザイン。 田舎町の娘さんが、自身の嫁入りに備えて織り上げたのでしょうが、下図もしくは母親の織った同様の作品を手本にして織られているので、若い作品の様な硬さはなく、落ち着きのある凛とした表情が何とも言えません。 余裕のあるフィールドに小さな模様を浮かべた構図は、隙間が空いているように思えますが、随所に小さな模様が埋め込まれ、広く空いている所はありません。 たくさんの“く”の字のジジムは全てオリジナル、アナトリアから出てくる物は工作の跡を疑いますが、これは刺繍ではなく、緯糸と一緒に織ってあるので、キリム表面に浮かび上がっています。 ラクダの毛が経糸に使われている事もあり、気持ち厚手のふんわりしたキリム、少し気配りして頂ければ敷物としてもお使い頂けます。 |
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