キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
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r44

産地 トロスレイハンル TOROS REYHANLI
年代 1905年頃
大きさ 338*142cm
価格 750,000円


アダナ近郊のトロス山麓で遊牧生活を送っていた人々の残したこの作品は、数あるレイハンルと呼ばれるキリムの中でもトロスレイハンルに分類されます。
業者間では省略して単にトロス、セールスの際にはしばしばレイハンルとのみ紹介され、広義ではアダナレイハンルに含まれます。
特異なのは一目見てそれと分かるとても過密なデザイン。
荒涼とした砂漠に囲まれた土地に暮らしていた人々は、隙間を埋め尽くした過密なデザインを好み、古いキリムはどれも趣向を凝らした隙間の生じ難い仕様になっています。

これは、フィールドにr38と同じ六角形の鳥模様を並べていく様式を採用、しかも、r38の様に片側に二つの鳥模様を過密に並べて隙間を無くしているのではなく、片側に一つと半分ずつを左右のカナットの分かれ目に置いていますから、両方のカナットの整合性が難しく、隙間は多くなります。
しかも精巧無比なタイプのレイハンルですら、左右のデザインの整合性は二の次にされます。
このような遊牧民タイプだと、概ね悪い結末と繋がりますが、これはそれらの不安要素を逆手にとって上手く仕上げている点が評価の高い所。
六角形の鳥模様の隙間は、小さな模様を用いて徹底して隙間を埋め尽くし、過密で立錐の余地もないくらいに埋まり、困難な整合性もかなりの精度で上手く組み合わされています。
しかも、個々のどれを見ても格式張っておらず、同じ模様を描いても遊牧民系らしい、部位毎に少しずつ異なる実に豊かな表情を持っています。
これらは織り手が下図に頼りすぎること無く、在る程度頭の中でイメージを持って即興的に織り上げる事が出来る技量の持ち主であったからこその賜物。
精巧に鏡写しのような模様を描くのとは違い、伸び伸び、生き生きとしています。
典型的なのが上下のボーダー部分、下には独特のソロモンの星が置かれ、上端とは全く違う所がいかにもトロス。
左右のボーダー部は通常のベレケットに加え、更にもう一つ狼の口が置かれた特異なタイプ。
フィールド背面はアダナらしい赤、それもコチニール系のワインぽい色むらのある色彩で、後半(上端)部分では紫味の強い色が意識的に使われ、過激な色むらを用いた暖かみのある色合いをしています。
(カメラの特質として赤味を強く映し出すので、実物はもう少し赤味が抑えられた渋みのある色合い。)
普段、リンスの効いた色むらを排除する冷たい色合いが使われる事の多いレイハンルとは一線を画するのも面白い所。
無論、レイハンルと呼ばれるキリムですからかなり織り目の詰まったキリム、薄くても密に織ることで耐久性を出しています。



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