キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
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r45

産地 レイハンル HATAY REYHANLI CICIM
年代 1870年頃
大きさ 330*185cm
価格 2,200,000円


神業のような細密で超高品質なジジム。
とても人の手で織ったものとは思えない薄さなので、実物を見ても何かの機械織りの布とか、帯のような反物ではないかと一瞬頭をよぎるほど。
でも、やはりこれは経・緯糸のあるキリムです。
その洗練し尽くされた面影は、多分に牧歌的な要素の残るアナトリアのジジムとは性格を異にします。
強引に言い換えるなら、ザラジジムの上質でセンスの良い所とアダナジジムの小振りな模様が入り交じったよう。
ただ、その職人気質の極めて高い所、選び抜かれた素材を厳選し、職工によって最高の物に仕上げられた本品は他のどれとも似つかわしくありません。
各カナットのつなぎ目は、装飾性も兼ねた白いコットンの紐で覆われ、田舎の家庭で織られた実用品のジジムではない特別あつらえ品としか説明の付きようがありません。
きっと、土地の権力者に対する献上品、又は裕福な一族からの受注により製作されたのでしょう。
アナトリアらしい連続メダリオン模様を使う事なく伝統的な小さな模様でフィールドを埋めている所は、さまざまな人々が行き交った国際都市の土地柄でしょうか。
これらの画像を一目見てお分かりのように、コチニール由来の赤色等、発色の良い色合いが多く使われています。
それも、年代の若い色合いではなく、明らかに年代物の古い天然色。
藍色やコチニールの赤色は退色の進行が遅いので、織られた当時とほとんど変わらない色合い、緑色や黄色等は元々、もっと濃い色合いであったでしょう。
ハタイの特徴として、自然に発生する色むらを嫌い、リンスの効いた幾分淡い色が好まれる傾向にありますから、これだけ発色の良いものは応分の年代のある証拠とも言えます。
ハタイらしさが一杯の真紅のコチニールの赤は、発注主からの希望でしょうか、他の色はそれぞれ一カナットしか無いというのに、赤は三枚もあります。
極薄のキリム地に織り込まれたジジムは、他のものと比べ小降りでありながら立体的に感じます。
黒くさえ見えるジジムの一部は細い銀糸、クルドのキリムではなくても、装飾性に拘って使用されています。
惚れ惚れと眺めていると、極細の経糸を束ねた房までが愛おしく、とてもこのフィールドに踏み込んでいく勇気は沸きません。
最後の画像は、撮影を終えたこのジジムを振り返って撮影したもの、その様子からいかに薄いかをご推察頂けると思います。

さて、これがどういう経緯で見つかったのか、少し触れておきましょう。
これを見たのは2009年、ちょうどイスタンブルに滞在していた時でした。
街中で昼食を済ませて店に戻ると、徒弟がどこからか運んできた黒いゴミ袋が片隅にありました。
卸屋が何も言わず、その中から取り出したのがこのジジム。
いきなり「ポン」と目の前に出てきても、中々状況把握ができません。
何でも、このジジムは発見された当時からこの業界の人によって、売りに出されるどころか、人目に付くこともなく密かに20年間保存されてきたものでした。
ところが、お年を召したせいか、何故か気が変わって、売っても良いと言ってくれたようで、一番に馴染みの卸屋に声が掛かり、たまたまその場に私が居合わせていました。



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