キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
クッションカバーも取り扱っています。
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産地 レイハンル REYHANLI KILIM
年代 1905年頃
大きさ 316*82cm
価格 100,000円


レイハンル又はマラティアと呼ばれるキリム。
キリムがやや暗めの基調色の為、掲載画像は明るく写り気味になっています。
暗めのトーンのものが、より実物に近い色合いとお考え下さい。

まず、これは全くの修理をしていません。
修理が必要なのは、朽ちたブラウンとそれに起因する僅かな部位に留まりますから、修理は難しくはありませんが、原価を押し上げる割に、見栄えがそれほど変わるわけではありません。
古いキリムの場合、薄く綿密に織る事で抵抗をなくし耐久性を上げている為、これを踏みつけたとしても、朽ちた所を除けば、壊れるようなものではありません。

レイハンルの担い手は、アレッポ方面から移動してきてアナトリア東部各地に定住し、その地域毎の特色を備えたキリムを生み出してきました。
それ故、明らかにレイハンルのデザインと品質を備えたものの他は、その土地のキリムと同化してしまい、判別は非常に難しくなっています。
ただ、品質に優れている他に、デザイン性等からそれとなく分かる程度です。
ただ、マラティアには彼らの居住地があった事から、類似したものが多く見つかります。

これの特徴は、ピンと張られた経糸に艶のある良質なウールが使われ、クルディシュな編み込みの房とは性格が異なり、水平機の大らかな感じとも違います。
緯糸にしても、細く紡いだ糸を櫛でたたき詰めている様子が強く感じられます。
レイハンルに拘るつもりは無いものの、どう考えてもマラティアらしくないのです。
既に掲載済みのレイハンルにこれと似た一枚がありますが、目の細かさではそれさえ上回ります。

デザイン面で見てみると、ボーダーはマラティアとのミックスで、フィールドの白いコットンのハチの巣模様の中に置かれた模様はいずれもレイハンルのモデルが使われ、むしろマラティア風の物が稀です。

色合いでは、深い青色の背面を持つボーダーとフィールド背面には赤色。
背面色に白を好むマラティアの雰囲気とも違います。
接写画像で確認頂けるでしょうか、インディゴ由来の青と青緑を分けて使い、単調にならない様に工夫してあります。

緑色は、インディゴ由来の青緑の他に暗く濃い青緑があり、良く探すと黄色いムラが残る部位が見つかりましたから、黄色をインディゴで上染めしてあるものだと判ります。
黒/ブラウンが使われているのは、ボーダーのベレケットやフィールドとの境目の部分等。
いずれも酸化が発生しています。
酸化が発生するくらい年数を経てもなお敷物としていたのなら、酸化した部分からダメージが広がりますし、歩くのに邪魔になる艶やかな房は失われています。
ジジムにも擦れは殆どなく、この上を歩く事が余り無かったとすると、長椅子の上掛け、又は、生活の中で目隠しとして壁から吊り下げて使った事等が考えられます。
しばしば4m近い長さで織られるものが3mそこそこで収められている点からも、そのような推測が出来ます。

ここからはキリムの本質の事とは離れます。
このタイプのキリムは既に選りすぐりの特上品を在庫に抱えており、いくら勧められても心が揺れず、やんわりと断り続けました。
価格もそれなりでした。
おそらくこれはその業者の所持品ではなく、誰かから借り受けて、中間マージンを得ようとしている可能性も十分にあります。
ただ、私自身この方にキリムの仕事でお世話になっているので、何かを買い取らなければならず、最後まで最善の一枚を待ち続けていました。
いよいよ帰国の前日になり、彼もあきらめたのか、「君が他の店で買ったどのキリムより品質が良いのに、どうしてこれに興味が無いのか?」と尋ねてきました。
そこで、既に保有している事を説明すると、彼はギリギリと思われる価格を提示してきました。
価格が魅力的に思えて、やっと本気になって検分を始めると、今まで見ようとしてこなかった所が見えてきます。
これなら下手に状態が良くて高いものよりは魅力的だなと思い、買い取りました。



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