キリムの店*キリムアートアトリエ |
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こんなに美しいキリムがあるんですね。 10数年前にこれと違うレイハンル、独特の箪笥模様を用いた色合いの美しいものを見た事がありました。 それは姉妹で片側ずつ作成されたのでしょう、長さも微妙に違い、箪笥模様は真ん中で半分に分かれているのに、整合していません。 おまけに使い込まれてブラウンは朽ちている上に、赤いフィールドから経糸が剥き出しになっている所があり、修理はかなり厄介、というかたぶん不可能。 それでも欲しいと思える位美しいキリムでした。 今思うと、使い込まれる事でウールが輝き、色美しさが強調されて圧倒的なオーラを放っていたのだと思います。 その点、これは更に古く華やかな色使いで、デザイン的にもメダリオンが美しくかつ整合しており、コンデション面でも優れています。 もし劣るところがあるとすれば、使い込む事によって生まれる輝きの部分。 ですが、状態が良ければ、それに越した事はありません。 一通り色合いをご覧下さい。 太陽光下の撮影の為、多少色のコントラストが強めなので、室内でご覧になる際には、画像よりもう一段落ち着きのあるやや暗めの色彩と考えて下さい。 文句を付けたくなる色合いは一つもなく、レイハンルにお馴染みのコチニール系統、そしてそれを藍染したなすび色、黄色を藍で上染めした濃厚な緑とその色むら加減といい、全てが古い色彩で彩られています。 その上に、この配合、使い回しが絶妙なので、部分だけ見ても美しいですが、広げてみた時の壮観さときたら言葉になりません。 このデザインを見ていると、一つのメダリオン毎に整合性を確認しながら丁寧に織り進めたようで、メダリオン模様だけでなく小さな模様までもが左右ピタリと符合しています。 普通、ここまで精巧にはできていません。 きっと、専門職人による正確な下図が用意されていたのでしょう。 それには、一段ずつに隙間を埋め尽くした完璧とも思われる構図が描かれており、普通なら「絵にかいた餅」に終わってしまいそうな所、難題をいかに克服していくかに心血が注がれ、着実に、いつ終わるとも分からない仕事を延々とこなして行ったと思われます。 これだけ精巧なキリムであっても、ボーダーのベレケットやフィールド線の端には「はらみ」を用いたレイハンルらしい格好が用いられ、至る所にハタイ由来の神髄が発揮されたまるでテキストのよう。 では、どうして制作するのに膨大な手間暇かかる図案にしたのでしょう。 その考え抜かれたメダリオン模様の中に描かれている髪飾りや足かせの模様からして、やはり婚姻用に作られたのではないでしょうか。 普通の家庭で制作したのか、外注したのか、後者かもしれません。 その仕事振りを見るにつけ、一般家庭では2年かがり、それでは集中力を維持して精巧に仕上げるのは難しいでしょう。 専門職人に依頼すれば恐らく2人が同時に織り進めるので1年も待たずに手に入れる事が出来、整合性も取り易い。 画像でも確認できる通り、若干のダメージが両端(左右)のボーダー部分に見られ、使用によるものなのか、保存していた時に擦れてしまったのか、緯糸が切れて経糸が剥き出しの所があります。 大掛かりな修理するまでもないので、簡単なかがりのみで終わらせています。 画像は完全に壊れたところを掲載していますが、他に少し解れてかけているところ、将来解れそうなところも同様に処理しています。 そのため、敷物として普通に踏み込んで使いたいという方は、端にダメージの少ない部分を進行方向に向ける等の工夫をして下さい。 偶々、知り合いから買い付ける事が出来たので、通常のレイハンルの価格よりも安価に設定しているため、多少のダメージは看過して下さい。 |
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