キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
こだわりのキリムで作ったバッグや
クッションカバーも取り扱っています。
キリムの店*キリムアートアトリエ
HOME | お取り引き
について
| 配送方法
と送料
| お支払い
について
| Q&A | オーダー
フォーム
| お知らせ | サイト
マップ


r55

産地 レイハンル REYHANLI KILIM
年代 1890年頃
大きさ 423*166cm(房を除く)
価格 750,000円


見事なチフカナットのレイハンル。
現状は、クリーニングとストレッチを施しただけで、見つかった当時のままの全く修理を施していない二枚のキリムを並べて撮影しました。
年代を考えると、元々、状態が良い物でしたが、近くで見ると壊れている所、シミがついている所等もあります。
もっとも、これは古いキリムでは当たり前の状態、むしろやや良い位です。
一番厄介なのが、小さな破損が至る所に点在している場合。
修理範囲はその周囲全体に及ぶので一つ一つに膨大な手間暇がかかり、その上に、散在する修理は決して見栄えが良くないからです。
10年前なら、これは完璧な修理を施せば、その個所も分からない位にまで復元する事も容易でした。
その為、古いキリムの業界では、修理前にこの状態であれば良い状態と呼ばれます。
ご紹介する画像では、どうしても綺麗な部分をお見せしたいので、掲載画像数にも限りがあり、破損部分は僅かしか含まれていませんが、他にも破損があります。
半面、修理無しの分だけ、価格が控えめになりますし、下手な修理を施されて見苦しくなる上に価格が高くなるという理不尽な事が起きず、当時の古い糸のままです。

次に、見た目では分からない点として、このレイハンルはその年代の割に薄過ぎず、目が詰まった密なキリムである事が挙げられます。
これは制作者が実用性に重きを置いたのか、それとも、別の意味があって念入りに作り込んだかのいずれか。

前述の通り、ダメージは限られた部分にあり、全体としては使用頻度が低く、キリムの表には当時に付けられた房が残ったままの所もあり、嫁入り道具の一つであった可能性があります。
それを制作したのが田舎の娘さんなのか、それとも、腕利きの職人に依頼したものかは分かりませんが、この小さな箪笥模様を並べて織り上げていくのはかなりの技術が必要になります。
しかも御覧の通り、一つの模様に何色も使っています。
制作前の下図に起こした段階でこれを一年かけて制作するのだと思うとゲッソリきそうなものですが、このレイハンルをご覧頂くと、むしろ、この色の変化を楽しんで制作したようではありませんか。
その計り知れない努力の賜物がこのキリムの醍醐味です。

長らくこういった古いキリムを見てきた事で分かる特異な点が、もう一つ。
ボーダー背面にブラウンを用いて、フィールド背面色の白を際立たせてある事です。
多くの場合、この反対でボーダー背面がきなり色のウールでフィールド背面色がブラウン又は赤色です。
こうする事で、暗めの背面の色彩との対比でフィールドに置かれた色とりどりの模様がより際立つ効果がありますが、これはその反対、白い背面の上に色鮮やかな模様を織り込んでいます。
白色は他の色を中和させてしまう効果がありますが、このレイハンルでは敢えて、フィールド背面に白/ウールとコットンのミックスを使っています。
その実、アナトリア地方でも白色は未婚の女性が好んで用いる色合いであり、それ故にこの組み合わせが成立したのだと思います。
お陰で、ボーダーからフィールドまで息つく間もない過密な装飾と圧巻の色合いが際立っています。
つまり、この点からも嫁入り道具の一つであった可能性が読み取れ、これら箪笥模様は正に嫁入り道具として、たくさんの美しい衣装に包まれたいと言う切実な願いが描かれていたという仮説が成り立ちます。
そして、きっと願いが叶ったので、こうしてキリムを大事に保管して置いたのではないでしょうか。
そして、世代を超えてそれが受け継がれていたというのが、目には見えない功労者。

また、こちらの色のパターンも中央の緑色を中心にしてそこから上下に同じ配色が施される、いわゆるレイハンル・パターン。
その緑色も3〜4種類あり、実に見応えのあるものです。
なすび色にも何通りも有って、ブラウンに近い物から赤紫に近い茄子色まで様々。
これは一番染めに使う色糸の違いよるもので、殆どの色合いがこの調子ですから、一体、何種類の色糸があったのか、織り手自身も把握していなかった事でしょう。
これだけの完成度を誇りながらも、上の端は数センチ長さが揃いません。
これを織り上げる技術があるならば、合わせようと思えば出来たはずですが、敢えてそうはしていように見受けられます。
(並べ方によりあと1cm程度は改善します。)
上の端は無くなっているので、房止めは納品前に行いますが、古い糸色を捨てるのは惜しいので、できるだけ現状を残してギリギリの所で入れます。
用途としては鑑賞用になりますが、目が詰まったキリムであり、状態の良い部分は十分な強度があるので、それほど神経質になる必要はありません。

仮定の話として、もし修理をご希望であれば、私の知っているアクサライの一級の職人に依頼し、その際に、染み抜きや追加のストレッチ等でほぼ完璧な姿に仕上げる事も可能です。
ただ、金額がほぼ2倍近くになります。



戻る
当サイトの写真・文章・他、すべての情報の無断複製・転用をお断りします。
Copyright © 2026 Kilim Art Atelier. All Rights Reserved.
75