キリムの店*キリムアートアトリエ
【Kilim Art Atelier】 キリムと絨毯販売
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fc253 リュトフィ オズデン・絨毯


産地 リュトフィ オズデン LÜTFİ ÖZDEN CARPET
年代 1973年頃
大きさ 359*245cm (房を除く)
価格 お問い合わせ下さい


カイセリのハジュラル地区で代々絨毯業を営むÖZDEN家に生まれたLÜTFİ、彼が1971年に設立したサライ絨毯工房で制作した絨毯が、今ではLÜTFİ ÖZDENと呼ばれています。
リュトフィ氏に関する記事はこちらに記しています。

この画像もÖZDEN家のご子息に頼んで撮影して貰ったものです。
ÖZDEN家を訪問する前夜、3枚のLÜTFİ ÖZDENの画像を送って頂きましたが、その内の1枚はご自宅に敷いてある特別なものでした。
実質、2枚が買い取り候補で、今回ご紹介するものには含まれていませんでした。
友人から、LÜTFİ ÖZDENがカイセリで一番、つまりトルコで一番の絨毯だと聞いていた為、私は並々ならぬ興味があって熱心に伺っていると、奥様も挨拶に来られ、次いで、息子さんもこられ、次第に和やかな雰囲気となり、意気投合しました。
その際、別の部屋に案内されて見せて頂いたのがこのLÜTFİ ÖZDEN。
普通の来客ならば、これを見せる事なく終わりだったような気がします。
勿論、下手に画像を送るとその画像を利用して販売する輩が後を絶たないのも大きな理由の一つ。
また、見ても譲って頂こう等とは考えても無く、それでも、記念にこの絨毯の絵面が欲しいので、この絨毯の前でご家族の皆さんと記念撮影をした次第。

さて、この絨毯を見た印象ですが、見た瞬間からその大きさと装飾性からくる迫力に圧倒されました。
模様が入り組んでいて、普通の絨毯とは比べ物にならない事が一目瞭然、これが世界一の絨毯と言われる所以です。
ただ、価格を尋ねても想定以上のものである可能性が高く、手に負えないものを軽々しく尋ね、気まずい雰囲気になるかもしれないと危惧していました。
勿論、最後のLÜTFİ ÖZDENですから、欲しいという気持ちは当然あります。
決心がつかないので、「(前の)一枚だけを買います。」と友人に言うと、これも買った方が良いと勧められ、その方向に心が傾きました。

色合いやデザインについて、フィールドの背面は照明が暗いから濃紺に見えるのではなく、これは濃紺色に染められています。
この濃紺を使っている所為、そして、ボーダー模様は前作fc252のような変形を伴わずに正確に小さな模様を繰り返している所は、ほんの少し、イランもののような雰囲気を感じますが、それ以上に細かい。
圧巻なのは、そのフィールド内のデザイン構成。
月並みな誉め言葉に、「隙間を埋め尽くす」というものがあります。
しかし、LÜTFİ ÖZDENでは、隙間を埋めるという発想ではなく、あらぬ限りの模様を詰め込む手法で制作されるので、初めから隙間が生まれる可能性は考えられず、如何にしてより優れた力作に仕上げるか、その為にはいくら手間暇掛けても構わないという、無茶振りで、意地の張り合いのようなところが面白い。
同様に、色目の数も明らかに多い。
最高のイスファハン絨毯でも4~5色程度なのに、一体、これは何色使っているのでしょう?
この下図は、デヴェリ・サライ絨毯を立ち上げた極初期の頃、最高の作品に仕上げようと考案されたものだと思います。
トルコの伝統的な模様、階段状のメダリオンや生命の木等の他、イラン風の模様等が複雑に嚙み合わされ、混然一体となってこのデザインを形作っています。
この複雑怪奇なフィールド模様全体が何を意味するものなのか、分かるものならぜひ知りたいところ。
キリム的な解釈方法では一部ずつが豊穣を願うものである事等しか分かりません。
また、この最上級品には、本物である事を示すサインが模様の中に織り込まれています。
この事を知っているのはLÜTFİ ÖZDENを扱う事ができる僅かな人だけ。
真贋を見極めるためにその模様を入れてあるのだそうで、やはり、昔からコピー作品が出回っていたのでしょう。

他に何種類かの超過密タイプもありますが、いずれも模様が全く違うので、極初期に複数のデザイナーを雇って制作したものだと思われます。
しかし、それ以降は工房の運営が難しくなったため、採算度外視の最高品質は現実的に、ほぼ制作する事が出来なくなったと思います。

かつて、カイセリで制作されたマンチェスター絨毯はイギリスの資本で制作され、そのデザインも西洋人が好むスタイルで制作されました。
対して、LÜTFİ ÖZDENは絨毯生産の本場中の本場、カイセリのハジュラルにてトルコ絨毯の全てを知り尽くした人物が設計して制作したものであり、正に、トルコ絨毯の真髄。
もう二度とは制作する事も叶わないトルコ産の最高の絨毯も今や、人々の記憶から消え去ろうとしている現実に直面する中、貴重な遺物が僅かだけ現存しています。

なお、買い付けた後でお伺いしたのですが、この作品、私が買い取らなかった場合は売り手が決まっていたとの事。
誰かこの絨毯の存在を知っている商売上手なカイセリの人が、西洋の顧客に紹介して販売する予定だったのではないかと思います。
偶々、私がカイセリに出向いた際に「LÜTFİ ÖZDENに興味がある。」と話さなければ、これに出会う機会は永遠に失われていた訳で、奇跡のような巡り合わせでした。
そして、商談を終えるまでその事を一言も話さない辺りも彼らしいお人柄。
また、最後の画像の通り、これらLÜTFİ ÖZDEN全てがストレッチを終えて発送を待つ状態です。



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